8月8日の15時に、
天皇陛下のビデオメッセージが流れました。
メッセージ全文がニュースサイトでも掲載されていますが、
その中に意味を理解できない言葉が有りました。
殯(もがり)
もがりについて、
更には生前退位の現状についても出来るだけ簡単に分かりやすくお届けします。
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天皇陛下 生前退位のお気持ち強く。年齢82才で体力も低下。
わたしも実際にビデオメッセージを拝見しました。
約11分間の天皇陛下のメッセージは、
一定のゆっくりと分かりやすい速度でお話しされ、
一言一句に気を使われ、凄い集中力で臨まれてみえました。
82才のご高齢でありながら、
11分集中して文章とともに想いを語られるということは
同じ82才の方であればなかなかそうはいかないのではないでしょうか。
陛下は「生前退位をします」とは明言できませんが、
その中でも生前退位をすることが、国のため、国民のため、
また残された家族のためであるとおっしゃっています。
陛下が天皇になられて28年。
美智子皇后様と一緒に、全国各地と飛び回り、
国民を想い、祈るという務めができたことは幸せだったといいます。
東日本大震災のときも、先日の熊本地震のときも、
実際に現地へは日帰りで行かれます。
現場の警備などの負担になってしまうからだそうです。
1日でも早く熊本に向かいたかった陛下ですが、
余震の関係もあるなかなか向かえなかったようです。
阿蘇山や益城(ましき)町を回るには1日で終えられないほど。
体力も求められる、ということになります。
休んでいる暇がないほどの強行日程です。
車の中では笑顔で手を振り、被災者の方とお話しし、
マイクロバスでの移動も気をぬくところをは有りません。
帰り際には、お疲れだったのでしょう、足をひきずる場面もあったと
情報が残されていました。
そのような中で、公務の規模を縮小していくのは無理があるのと、
全身全霊で今後も行っていくには体力がないので、
皇太子様に譲位したいという想いのようです。
今後、天皇陛下が重病にかかった場合、
天皇の十分な責務を果たせないまま天皇であり続けることは、
崩御後の国、国民への影響、更には残された家族が
非常に厳しい環境下におかれることも避けたいとの言葉もありました。
天皇陛下のお気持ちメッセージで出てきた「重い殯(もがり)」の意味!
天皇が崩御されたときに、重い殯(もがり)というものがあるようです。
その部分のメッセージをこちらに引用しますね。
天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、
これまでにも見られたように、社会が停滞し、
国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。
更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、
重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ二ヶ月にわたって続き、
その後喪儀(そうぎ)に関連する行事が、一年間続きます。
その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、
行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、
非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。
こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります。
2ケ月間にわたる重い殯(もがり)の行事とは一体どんなものなのでしょうか?!
殯(もがり)とは
殯というのは、日本の古代におこなわれていた葬儀儀礼のことです。
どれくらい古いかというと、古事記とか日本書紀、万葉集にも
文字が使われていたくらい古くからある言葉です。
で、その時代の殯(もがり)というのは、
とっても簡単に言うと、死んだんだと確認する行為です。
そのために、本葬するまでのかなり長い間、
棺に遺体があある状態で、別れを惜しむお通夜みたいな感じです。
お通夜は現代では非常に短いですが、それが超長いんですね。
別れを惜しむだけでなく、死者の復活を願いつつも、
どんどん見た目が人間のようではなくなり腐敗していく姿を見ます。
白骨化するまでの物理的変化を確認することで「死」を受け入れるんですね。
それが、殯(もがり)です。
2ケ月間のもがり、、、今でもそんなことしてるの?!
と恐怖にも似た驚きがありましたが、大化の改新以降は、
葬儀も簡素化され火葬の普及もあったことで上記の内容では
行われていないはずです。
そうだったらね、、、あまりにもお辛いです。
ですが、天皇陛下という存在ですから、
長い期間そのままのお姿で殯宮にいることになるんだと思います。
その2ケ月間は本当に大変だということと、
その後の喪儀の行事が1年間続き、
また新しい年号にて新時代の行事も同時に進むことが
天皇陛下が即位された経験からとても大変だったことで
子供にはそういう想いはさせたくないということと、
国のために、国民のために、急な変化を避けたいという想いがあると感じられます。
天皇陛下が生前退位を宣言できない理由は?!
これは憲法第4条に書かれています。
・天皇は国事行為のみを行い、国政に関する権能を有しない
政治には関わることができず、
法律改正などを提案できないという状態だからなんですね。
ですから、天皇陛下のビデオメッセージの後に、
安倍首相が簡単でしたが天皇陛下へのお気持ちへの
非常に短い記者会見をしたのも、陛下に対するご配慮でもあったわけです。
皇室典範では、皇位継承は天皇がなくなった場合に限られているので、
今回のようにご存命のうちに譲位したい場合は、
法律改正などが必要になってきます。
わたしたち国民へのメッセージも最後にありました。
始めにも述べましたように、憲法の下(もと)、
天皇は国政に関する権能を有しません。
そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、
これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、
相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、
そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、
安定的に続いていくことをひとえに念じ、
ここに私の気持ちをお話しいたしました。
国民の理解を得られることを、切に願っています。
わたしは今回の天皇陛下の、天皇である責任や、国のため、
国民のため、更に「残された家族」のためと発言された天皇陛下の
強いお気持ちが聞けて良かったです。
皇室の事情が色々あると思いますが、
天皇としても、そして一人の父としても、
家族のことを考えられ一番の最善を考えていらっしゃる。
法律改正などありますが、
どうか陛下の気持ちは通ってほしいと感じました。